いびきの悩み
睡眠中の悩みで多いのはやはり『いびき』。
眠っている間、寝ている本人は気がつきませんが、ご家族やパートナーに指摘されることが多いようです。

日本人のうち習慣的にいびきをかく人は、約2000万人もいると言われています。
特に男性に多く生じることから、「夫のいびきがうるさくて眠れない!」という悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。
「いびきをかくのは熟睡している証拠」と多くの方が思い込んでいらっしゃると思いますが、最近は事情が大きく変わってきています。
研究が進むにつれ、いびきが人間の健康や生活に重大な悪影響を及ぼすことが次々と明らかになってきたのです。
いびきの悩み

いびきは、簡単に言うと、睡眠中の『呼吸障害』です。 これは誰にでも起こります。
たとえば、風邪をひいてのどが腫れれば、空気が通りにくくなっていびきが発生します。
こういう原因がはっきりしている一時的ないびきは、その原因が解消すればなくなります。
しかし、何らかの原因でいびきが慢性化すると、睡眠中ずっと呼吸障害が続くことになります。
こうなると、体は慢性的な酸素不足に陥ります。これが原因となってさまざまな悪影響を与えるわけです。

なかでも怖いのが、耳にすることも多いことばになってきました、『睡眠時無呼吸症候群』です。
睡眠時呼吸障害のうちでも特に症状がひどく、睡眠中、一晩のうちに何十回も何百回も呼吸が停止してしまうのですから、心身に与える影響はきわめて深刻です。
睡眠時無呼吸症候群の人は、居眠り運転で交通事故を起こしたり、脳卒中や心臓病など重大な生活習慣病を合併する危険が高くなり、健康な人より早死する確率がぐんと高まります。

『人生の3分の1眠っている』と言われます。
80歳まで生きるとすると、目が覚めているのが約53年間、眠っている期間はなんと27年近くに上ります!
人生の27年もの長い期間を無視していいわけがありません!
眠りについてもっと真剣に、関心を持ちたいものです。

睡眠不足

いびきはなぜ起こるのか

上気道が狭くなるのが主な原因

いびきを引き起こす原因は何なのでしょうか?
一言で言うと「気道がせまくなる」 これがいびきの原因です。

人間が息を吸ったり吐いたりするときに、空気の通り道になる部分を「気道」といいますが、何らかの理由によってこの気道が狭くなることがあります。
気道が狭くなると、呼吸にともなって流れる空気はせまいところを通らなければならなくなります。

このとき、通り道が狭ければ狭いほど空気抵抗が大きくなり、空気の流れが乱れて、のどの粘膜や分泌物、そして軟口蓋(なんこうがい)が振動することになります。
この振動音がいびきの正体なのです!

もともと気道にはデコボコとした凹凸があったり、意図的にせまくなっている部分があったりして空気抵抗が生まれやすい構造をしています。 なぜそんな構造をしているのかというと、それはほこりやゴミなどの異物をブロックして体内に入らないようにするためです。

※軟口蓋(なんこうがい)
上あごを前歯の後ろから口の奥の方へ舌で触っていくと、途中から急に軟らかくなる部分のこと。

人間の口内の構造
仰向けの寝る習性がいびきの原因に!

ほとんどの人は、寝るときに仰向けの姿勢をとります。
この仰向けの姿勢が、いびきを引き起こす大きな要因になっているのです。
あお向けの姿勢で寝ると軟口蓋や口蓋垂(こうがいすい・のどちんこ)、舌根部などが重力に引っ張られて下の方向に下がります。 その結果、これらの軟らかい部位がのどの奥に沈み込み、空気の通り道である気道を狭めてしまいます。

こうして空気抵抗が増大し、いびきを引き起こすのです!
しかも、睡眠中は全身の緊張が失われていますから、のどや舌の筋肉もゆるみ、ゆるんだ部位は振動しやすく、いっそういびきをかきやすくなるわけです。
また、睡眠中は体が昼間ほど酸素を必要としないので、副交感神経が働いて鼻の粘膜を腫れさせ、空気の通りを抑えています。
つまりわざわざ鼻の通りを悪くしているわけでこれもいびきの大きな原因になっています。
睡眠中はいびきをかく条件がそろっているのです。

仰向け寝

こんな人がいびきをかきやすい

肥満

肥満というと、外見や体重、体のまわりについた脂肪に関心が集中していましたが、肥満によって体の内部につく脂肪の危険性も注目されるようになりました。
肥満体型の人は二重あごなど外側から見える部分だけでなく、内側にある軟口蓋や咽頭壁などにもたっぷりと脂肪がついているのです。
のどの内部に脂肪がつくということは、その分だけ気道がせまくまることを意味しています。
また、見た目はそれほど太っていなくても、首まわりだけ太くなってきた場合も要注意です。「首太い=気道のまわりに脂肪がついている」というケースが多いです。

肥満
下あごが小さい、または後退している人

下あごが小さかったり、あるいは後退している人は、あお向けに寝ると下の後方(舌根)がふつうの人より落ち込みやすい傾向があり、そのため、気道が狭くなり、いびきを起こしやすくなります。
口蓋垂(のどちんこ)の長い人

ほとんどのいびきの「真犯人」といわれる軟口蓋の真ん中にぶらさがっているのが口蓋垂(のどちんこ)。 これが長くて、舌と接してしまうような人は、気道の確保が難しくなり、いびきをかきやすくなります。
扁桃が肥大している人

扁桃はのどの奥に位置し、口蓋扁桃や咽頭扁桃(アデノイド)などがあります。これらが肥大すると気道がふさがれ、いびきの原因になります。子どものいびきの原因に多くみられます。
鼻筋の曲がっている人、だんご鼻の人

鼻は空気の取り込み口ですから、ここに構造的な問題があると、いびきをかきやすくなります。
年齢にともなって筋肉がおとろえる

年齢を重ねるにしたがって、筋肉の張りは衰えていきます。
これは体のほとんどの部位にあてはまりますが、のども例外ではありません。
のどの筋肉のはりが衰えると、舌が気道に落ち込みやすくなり、気道がせまくなっていびきにつながります。

筋肉のおとろえ
鼻づまりのせいで口呼吸になっている

鼻の通りが悪くなると、口呼吸になりますが、これはいびきを誘発します。
なぜなら、眠っている時に口を開いていると舌がのどの奥に落ち込んで、気道が狭くなるからです。

他に口呼吸をまねく要因として挙げられるのは「精神的なストレス」です。ストレスが多いと、脳に酸素をたくさん供給しようとして口を開けて呼吸しがちになります。
精神的ストレスが寝つけない(入眠障害)などの不眠症を引き起こすことは広く知られていますが、実はいびきにも関係しています。

鼻づまり
アルコールや睡眠薬などの影響で、筋肉がゆるむ

アルコールは筋肉の緊張をときほぐす作用があります。
のどの筋肉も例外ではなくアルコールの影響を受けますが、この時筋肉がゆるみすぎると気道がせまくなって、いびきをかきやすくなります。 「眠れない夜には寝酒をする」という方もいるかもしれませんが、いびきの観点からだけでなく、眠りの質という観点からみても寝酒はやめた方が無難です。

アルコールや睡眠薬

いびき改善&解消法

横向きで寝る

いびきをかかずに寝るのに、手っ取り早い方法は横向きで寝ることです。
横向きに寝ることで、気道の確保につながります。
硬すぎる敷寝具ですと、横向きになった時に、出っぱっている肩・骨盤に圧力を感じてしまい、長い時間横向きで寝ることが難しくなってしまいます。
適度なクッション性があり、体の凹凸をしっかり受け止めてくれる体に合った寝具が望ましいです。
枕を低くする
枕を低くする
枕の高さも重要です。
高すぎる枕ですと、あお向けに寝た時、あごがひいた状態になり、気道を圧迫してしまい、いびきの原因になってしまいます。
抱き枕を利用する
抱き枕を利用する
抱き枕(足を絡められる物がよい)は、自然と横向きで寝やすくなります。

肥満解消(ダイエット)

肥満が原因でいびきをかいていると疑われている場合や、睡眠時無呼吸症候群(SAS)になっていると考えられる場合には、当然「肥満解消(ダイエット)」が「いびき防止」「いびき対策」には必要不可欠です。
適度な運動
適度な運動
減量(ダイエット)には適度な運動はかかせません。
食事制限だけの減量は体に負担がかかりますし、リバウンドの危険性も。
大切なのは、適度な運動であって、過度な運動は逆に疲労が溜まり、その疲労がいびきの原因になることもあるので注意しましょう。
食生活の改善
食生活の改善
肥満に繋がりやすい食生活・・・
  • 早食い
  • 不規則な食事時間
  • 外食が多い
  • 欧米化した肉中心の高カロリー、高タンパクの食生活
  • ダラダラ食い
  • 間食

また外見上や体重が標準であっても、内蔵脂肪がついている場合も同様に、いびきの原因となりますので注意しましょう。

口呼吸を治す(鼻呼吸へ戻す)

口呼吸は、いびきの大きな原因の一つですので、口呼吸が原因でいびきをかいている場合には、口呼吸を治し、鼻呼吸へ戻すことが大切となります。
しかし口呼吸の人の中には、鼻の疾患があるために口呼吸をしてしまっている人も少なくありませんので、その場合には、耳鼻咽喉科などで診察を受けて、まずは鼻の疾患を治すことが先決となります。
鼻呼吸を意識する
日頃から鼻呼吸を意識する
ふと気づいたときに口呼吸をしていませんか?
意識的に鼻呼吸をするようにしましょう。
家の中、たとえば机、パソコンなどに「鼻呼吸」という紙を貼り、意識的に鼻呼吸をすることで、鼻呼吸へ戻すことも十分可能です。

生活習慣の改善

アルコール(飲酒)
いびきの原因の一つと言われている「アルコール(飲酒)」
アルコールを飲むと、リラックス効果があり、全身の筋肉がゆるむのですが、当然、気道の筋肉も緩むので、気道が狭くなってしまい、その結果、呼吸をした時の空気抵抗が大きくなるために、のど(咽頭)や鼻(鼻腔)の粘膜の振動が増し、いびきをかきやすくなってしまうのです。

またアルコールを飲むと、上気道の鼻粘膜が充血したり膨張するため、鼻呼吸が苦しくなったために口呼吸しやすくなり(口呼吸はいびきの大きな原因です!)、さらに過度のアルコール摂取をすると、体内で不足した酸素を取り入れようとする作用が働きますので、いつも以上に呼吸が激しくなり、いびきに繋がりやすくなるのです。

もちろん、アルコールによる一時的ないびきは誰にでも起こる可能性があるので、病気でもありませんし、問題はありません。
アルコール(飲酒)

しかし、毎日飲酒する人の場合は、そのいびきがアルコールが原因なのか、その他のことが原因かわかりませんので、一度アルコールを控えてみて、いびきをかくかチェックしてみましょう。
また、過度の飲酒は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状を悪化させることもありますので、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、禁酒が必要不可欠になってきます。


薬(睡眠薬・精神安定剤)
アルコール同様、睡眠薬や精神安定剤を飲むと、リラックスし、全身の筋肉が緩み楽になります。
当然、気道の筋肉も緩みますので、空気の通り道が狭くなり、狭くなった通り道を同じ量の空気が通ろうとすると空気抵抗が大きくなるので、粘膜の振動が増したり、鼻呼吸だけでは酸素が十分取り入れられなくなり、口呼吸へと繋がり、いびきの原因となってしまうのです。

薬(睡眠薬・精神安定剤)
先程から頻繁に出てくる『睡眠時無呼吸症候群』についてもう少し詳しくお話したいと思います。

『睡眠時無呼吸症候群』の定義とは・・・
  • 睡眠時の無呼吸を繰り返し、その結果、日中に眠くなる、熟睡感がないなどの種々の症状を呈する疾患。
  • 無呼吸(10秒以上の呼吸停止)をひと晩7時間の睡眠中に30回以上、あるいは1時間あたりに5回以上起こす病態。

睡眠時無呼吸症候群の方は、呼吸が止まってしまうため、体への酸素の供給量が著しく低下します。
血中酸素飽和度を入院検査時に測ってみると、重症の人は、通常の状態の50%台しかないことがあります。
この血中酸素飽和度は、驚いたことに人間が世界最高峰のエベレストの頂上に立ったときに匹敵します!

エベレストの頂上は8848メートル、酸素濃度は極端に薄く、海抜0メートル地点に比べて3分の1しかありません。
経験を積んだ世界的な登山家でも、高山病などで命を失う危険性がある過酷な世界です。そのため、登頂をめざす人は、酸素ボンベを用意したり、持って行かない場合は何日もかけて除々に体をを慣らすなど、万全の対策を立てて挑みます。
ところが!睡眠時無呼吸症候群の人は、睡眠中に一気に呼吸停止してしまうのですから、酸素ボンベなしで、わずか1~2分でエベレストの頂上へ駆け上がっているようなものなのです。
登山

そして、生身のまま自然落下でふもとまで戻り、次の登頂を目指して準備をする・・・恐ろしいたとえですが、これをひと晩に何十回も、重症の人は500回も繰り返しているのです。
熟睡なんてできるわけがありません!
脳も体も夜眠ることによって休養をとりますが、睡眠時無呼吸症候群はその休養を妨げてしまいますから、脳も体も、肝心な昼間にしっかり働くことができません。
それどころか、働くべきはずの昼間に眠ろう、眠ろうとします。
それが、強烈な眠気、突然の居眠りとなって現れるのです。

突然の居眠りは重大な事故を引き起こします。
「新幹線の運転士が270キロで走行中、8分間も意識を失って自動列車停止装置が作動し、最悪の事態は免れた」という事件は記憶に新しいかと思います。
その他にも、世界的な惨事(チャレンジャー爆発事故・アラスカ沖原油流出事件・スリーマイル、チェルノブイリ原発事故)のかげには無呼吸など睡眠障害があるのです。
また、睡眠時無呼吸症候群はさまざまな生活習慣病を引き起こしたり、悪化させたりします。

睡眠不足
それが元凶となって引き起こされる合併症には、肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症・心疾患・脳卒中などがあります。

睡眠時無呼吸症候群の症状がある方は、一刻も早く改善するべく行動をとられた方がよいと思います。
前出で述べたいびき改善&解消法で症状が改善しない場合は、ぜひ医療機関へ行って受診することをおすすめいたします。

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